ゲーム・オブ・スローンズのオリジナルサウンドトラックを聴け(ネタバレ無し)

 2ヶ月ぶりにゲーム・オブ・スローンズの話を……ハァハァ、やっと帰ってこられた。

 私が実家で寝込んでいる間に、クソデッカ・オーシャンの向こう側ではゲーム・オブ・スローンズ(以下GoT)のコンサートツアー、Game of Thrones Live Concert Experienceが開催されて大盛況だったらしい。超うらやましい。GoTが流行っていないのは日本と北朝鮮だけとか言われているこの状況では、ツアーが日本に上陸する可能性はほぼゼロだ。もっと流行れ。みなさん、もうシーズン3くらいまで観たか?観てないのか!?ナンデ!!!????半年後にはシーズン8が公開され、インターネットにネタバレの狂風が吹き荒れる。落ち着いて鑑賞するには今がチャンスだ。さあ!再生ボタンを押せ!一回だけ!一回だけだから!行くぞ!デンデンデデデンデンデデ……

 

 

 

 

(追記:デンデンデデではなかった。第1話はプロローグが挟まるのを忘れていた。まあお茶でも飲みながらゆっくり観てくれよ。グロ注意かつ意味不明なシーンの連続で頭がわけわかめになってしまうかもしれないが、この時点では何が起こっているのか登場人物も視聴者も誰一人わかっていないので安心してほしい。)

 

 

 

 

 最高…………。もうね、泣いちゃう。モウネ・ナイチャウになってしまう。このオープニングは全世界で30000億回再生され、アー↑アー↓アアアー↑アー↓アアアー→を引けるチェロ奏者は公演のギャラが500000兆倍になったと言われている。嘘だ。だが実際クオリティはめちゃんこ高い。みなさんは幸運にもこのクソカッコイイオープニングをあと66回も観ることができる。これはすごい、すごいことだ。誰にも為し得なかったことだ。メイク・ウェスタロス・グレート・アゲイン。ありがとう!七神よ、我らを守りたまえ。しかもカタカタする城はエピソードの内容を反映してちょいちょい変わる。見逃すな。60回くらい真面目に観ていると連続ログインボーナスで良い事がある。

 

 ところでこのクソカッコイイ曲を書いたのは誰か?ラミン・ジャワディ先生……。アイアンマンとかパシフィック・リムの人だ。つまり、完全に信頼できる。疑念は全7シーズンを通して完全に払拭される。神ン・神ディ先生はラミなので創造神ジョージ・R・R・マーティン先生のひどい無茶振り……突然の設定変更……まさかの捨て伏線……そういう要求を全部クリアできる。クリアしてみせた。マジか。さらに神ディ先生はジャワなので各勢力のテーマをこれでもか!これでもか!とキメキメにアレンジしてバンバン挿入してくる。インタビューで「ここ(S7Ep7)は映像を見てすぐ書いた。浮かんできた。」とか言ってた気がする。嘘だろ。コレとアレがここでこう合体して……最初から計算ずくでやっていたと思ったら……後から……先生!!!!!!!!

 

 公式からネットにアップされているのはシーズン7のサントラだけなので、そいつをいきなり聴くと全部ネタがバレで台無しになってしまうからダメだ。曲名が思いっきり’’Truth’’……の時点で絶対ヤバい。いけない。まず本編をシーズン3くらいまで観て、おっやるじゃんと思い、シーズン1~3のサントラを購入し、じっくり聴きながらアッアッあれが~~~~こうなって~~~~~~………………ナイチャウ……………………

 

 

 

  ナイチャッタ……。いや私が泣いちゃったのはどうでもいい。重要なのは、ジャワディ先生がテーマの発展ライトモチーフの活用という最も基礎的な手法を極めており、BGMが物語全体の進行と各シーンで提示される状況の理解をさりげなく、かつ効果的にアシストする楽曲を、大長編ドラマシリーズにおいて最初から最後までほとんど綻びなく提供し続けたという点だ。神業だ。顧客が本当に必要だった物だWikipedia英語版には厳密なおたくが作成した各シーズンのサントラの解説ページがあるので、興味が湧いたらドラマ視聴後に答え合わせくらいの気持ちで見てみてもいいかもしれない。正直厳密すぎてちょっと引いちゃった。

 ところで、ドラマに出てくる歌や詩はだいたい原作の台詞をそのまま取ってきているのだが、意外と良い感じに仕上がっていた。人気歌手エド・シーランがカメオ出演して歌っているシーンもあるからファンは要チェックだ。一人めっちゃ歌うまいモブいるなと思ったらエド・シーランだった。歌詞の内容についてネットにすごい長文考察上がってるの見たけど原作とシチュエーションが違いすぎて私には何とも言えない。真実はマーティン先生のみぞ知る。というかみんなすごい色々考えて鑑賞してたんだな。私はターリー屋と餃子の王将と黄金炒飯のことばっかり考えてた。そのうちサントラの話はネタバレ有りでもっとしっかり書く。みんなGoT観てくれ~

 

 先週偶然ジャワディ先生のラジオ生出演&生演奏回の動画が公式にアップされていたのを発見し、4時間くらい連続再生して完全にEMOTIONになってしまった。その勢いで記事を書いた。支離滅裂だから今度更新する時に校正します。ちょっとバレすると、個人的オススメ曲はシーズン6最終話、"The Winds of Winter"だ。ちなみに"The Winds of Winter"はマーティン先生が7年くらい書き続けてまだ書き上げていない原作6巻の副題で……え?大丈夫?ちゃんと完結するのか?ドラマが正典になったら私が困る。尺の都合で推しキャラがハブられたから正典と認められない。どうして。どうしてですかね。心配してもしょうがないからマーティン先生を信じて一緒にドラマをマラソンしよう。私もシーズン8までにもう1回は再履する。約束だ。みんなGoT観てくれ~(2)

玉座取りのゲームに正義は無い(ネタバレ無し)

 またゲーム・オブ・スローンズの話だ。こいつ一生ゲーム・オブ・スローンズの話してんな……。

 

  ところで、今回の記事はゲーム・オブ・スローンズの鑑賞をオススメする内容ではない。HBOからお金を貰っている訳でもないし、こういうのもたまにはいいだろう。かなり無礼かつ挑発的な言葉を選んだ部分があるので、貴重な休日の午後を安らかに過ごしたい人は読まない方がいい。というかそれ以前に、このブログの読者3人くらいしかいないのではないだろうか。アクセス数の9割は自分がクリックしたときのものなのでは?どうでもいい。本題に入ります。

 

 

折れぬ、枉げぬ、まつろわぬ

 前の前の前の前くらいに、善悪とは何か?正しい事とは?みたいな話を書いた気がする。結論から言うと、そんなものはない。私はブログを3秒で終わらせるのがうまい。

  じゃあどうしてまたそれを蒸し返すんだよ?……それはな、みんな善悪二元論とか勧善懲悪とかそういうわかりやすい物の見方が大好きで、すぐキャラにわかりやすいレッテルを貼り、こいつは良い奴だあいつはクソ野郎だと決め付けたがるからだ。「正義の反対は悪ではなく別の正義」とかそれっぽいことを言われると、正義についても悪についても自分では何一つわかっていないくせに、何だか良い話を聞いて啓蒙されたような気分になっちゃうからだ。

 世の中に蔓延る悪徳をバッサリ斬り捨て、屁理屈をこねくり回すインテリぶった野郎を正論でコテンパンにするのは気持ち良いよな……。だが、その手の快感に溺れて己を見失っているやつはシーズン1の途中あたりで足元をすくわれて死ぬゲーム・オブ・スローンズの世界では、美徳も正論も主人公補正も一切通用しない。そういうドラマではない。スカッと後味の良い爽快感は期待するな。いいか?だめか?どっちにしろすぐわからされることになる……身をもって……。 

 

人は皆死なねばならぬ

「いや私はそんなアホじゃないし!世の中の複雑さとかそういうのちゃんとわかってるよ!」……本当か?「だから何事にも偏見を持たず、人の在り方の多様性を認めて、自由かつ公平な精神で正しく生き」嘘だな。ここが<黒と白の館>ならあなたは即フェイスレス・メンに囲まれて棒で叩かれているところだ。

 ゲーム・オブ・スローンズには、人が自分でも気付いていない心の内面を鏡のように映し返し、容赦なく突きつけてくる仕掛けが巧妙に織り込まれている。あなたは賢いので、きちんと内省できるだろう。劇中のキャラクターに向ける視線や、起こったイベントに対して抱く感情をよく見つめてみろ。どうだ。自身の人生のバックグランドと、性格を形成するバックボーンによって偏向された物の見方が、そのまま現れているではないか。自分に嘘をつくことはできない。そのことに気付いてしまった時、あなたが依って立つ自由主義の精神は曖昧になり、善悪の判断基準は揺らぎ始め、もはや何も信じられず、目の前が真っ暗に……そしてシーズン3の後半あたりで息絶える。たとえ生き延びたとしてもシーズン5で止めを刺される。ちなみに私はシーズン4で死んだ。あまりに苦しくてとても観ていられなくなってしまった。しかしそれを乗り越えれば……

 

死せる者は二度と死なず

 よくやった。自分の本当の姿を受け入れたな。ここまで来たらもうわかったはずだ。ゲーム・オブ・スローンズは歴史ファンタジーの皮を被った現代のドラマだということを。登場人物たちはあなたと同じく、より良い世界を作ろうとしたり、より良い人生を送ったりしようとして、その過程で悩み、苦しみ、躓き、転び、そのまま死んだり、また立ち上がったりする。そこには決して他人事とは思えないリアリティがある。私はプロの批評家ではないのではっきりとこれがそうだとは言えないが、劇中には人の内面の葛藤だけではなく、いま我々が現実世界で直面している問題の暗喩も随所に仕込まれている。ゲーム・オブ・スローンズが(日本と北朝鮮を除く)全世界で熱狂的に盛り上がっている理由のひとつはそういうところにあるのだと確信している。本当にすごいドラマですよこれは。シーズン7最高だった。もうね、泣いちゃう。

 

一族、本分、名誉

 泣いちゃった……。いや、なんか悲惨で苦悩に満ちた部分だけ強調してしまったけどちゃんと楽しい話もあるぞ。暗闇の中で輝く蝋燭の美しさよ。ゲーム・オブ・スローンズはこの上なく深い愛と友情の物語でもあるのだが、私は男女の愛についてはちょっとよくわからないので、家族の愛の話を書いて終わりにしよう。

 ウェスタロスの貴族はそれぞれ自分たちの標語(モットー)を掲げている。家訓みたいなやつだ。有名なのはスターク家の『冬来たる』だが、私が一番好きなのはタリー家の『一族、本分、名誉』。これが裏のテーマだと思っているくらい好き。FamilyとDutyとHonorは騎士にとって最も分かち難く、最も引き裂かれやすいものだ。家族を守るために名誉を捨てられるか?義務を果たすために家族を犠牲にできるか?極限の状況下で、人は決断を迫られる。全7シーズンを通して常に迫られ続ける。ファイナルシーズンでもまた迫られそうな気配がしている。そう、家族……。これ以上は本編の内容に触れそうなのでやめます。せっかくなので次回は名家と旗手の話でも書いてみることにする。おわり。

 

 

 

 

 最近ずっとBBCの教育番組を観ている。恐竜特集を視聴しながら、小学生の頃は恐竜博士になりたかったことを思い出し、今パソコンの前で無限にダラダラしている半ニートは誰だという気持ちになった。アブスターゴ社の治験バイトで貰えるお給金は雀の涙に等しいので、もっとマシな勤め先を見つけなければ。腎臓は売りたくない。

ゲーム・オブ・スローンズお節介鑑賞ガイド1(シーズン1ネタバレ有り)

 レッスン・ワン…………ゲーム・オブ・スローンズの世界では、まだ本編を観ていないのに記事に興味を持ってしまい、あからさまに(ネタバレ有り)と警告されているにも関わらずリンクをクリックしてしまうタイプのやつが、最初に死ぬ…………。

 シーズン1の2話くらいまで観て、また来てくれ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここを読んでいるということは、シーズン1の2話までは観たのだな。いいぞ、その調子で……え?登場人物が多すぎて話がわからない?

 序盤は人が固まってわちゃわちゃしているので混乱するのも無理はない。しかし、ストーリーの理解を妨げるまでにわけわかめ状態となると……重大な問題だ。

 このドラマ、初見で意味わからんと思っていたアレコレが2周目の鑑賞で全部わかってここ伏線アア~!となるのが楽しいのだが、洋ドラおたくではないあなたには2周目とかそんな面倒くさいことをしている暇はないだろう。だから、少しでもスムーズに視聴して一発目でアア~!できるようにお節介鑑賞ガイドを書いておく。

 

名前は無理して覚えなくてもいい

 人の名前はまだなんとなくでいい。主要キャラは観ているうちに見分けられるようになっていくし、何度も名前が出てくるので勝手に覚えてしまう。それに、ブランとブロン、サーセイとサンサの違いが曖昧なままシーズン6まで走って「良かった!」とか言ってるふざけた野郎を見たことがある。ジェイミー・ラニスターを演じるニコライ・コスター=ワルドー氏もインタビューでキャラの名前を思いっきり間違えていた。だから大丈夫だ……。

 いや全然大丈夫ではないな。顔と名前が一致しない状態が続くのもつらい。スターチャンネルの公式ページには登場人物の相関図が載っているが、シーズン6のやつにアップデートされているので参考にならないし、とんでもなく致命的なネタバレが含まれている。ウィキペディア先生も同じだ。ではどうするか……自力で覚えるのだ。

 

まとまりとして捉える

 大勢の人がわちゃわちゃしているが、何となく勢力ごとにまとまっているのがわかるだろう。今のところそのまとまりは、バラシオン家スターク家ラニスター家ターガリエン家、それ以外の有象無象に分けられる。それぞれ親子兄弟姉妹がいて家来がいて……この関係が無限に連なっており、そいつらを個別に覚えようとするのが脳ミソわちゃわちゃの原因だ。まとまりで把握するのだ。貴族たちは血縁関係を重視し、一族で固まる傾向がある。そしてその中に、封建制だか従士制だか御恩と奉公みたいなやつで、上下の主従関係がある。横と縦の線で紡がれた人間たちのまとまり……これをつかんだならば、あなたはゲーム・オブ・スローンズの世界でシーズン3くらいまでは生き残ることができる。

 

このおっさんは誰だ

 まとまり……まとまり……ぜんぜんわからない。俺たちは雰囲気で玉座取りのゲームをやっている……。そうだな。私もそうだった。というか序盤の時点では登場人物も視聴者も全員そんな感じだ。まずいきなりロバート王がわざわざウィンターフェルまでやってきてエダード公を<王の手>とかいうのに任命した理由がわからん。仲良しか?変な石を目に乗っけた死体の周りで踊っていた人たちと、その横で不謹慎な会話をしていた男女。何なんだあいつらは。子供を塔から突き落とすな。スノウって誰。etc……

 本当に何もわからん。取っ掛かりが必要だ。シーズン1は、ロバートの<王の手>ジョン・アリン公の死をきっかけに話が動き出す。アリン公はもう死んだので出てこないが実は結構すごいやつなので、この人を起点に最初の展開を整理してみよう。

  ジョン・アリンは名前からわかるようにアリンの谷間の領主、アリン家の当主だった。貴族の社会には、同盟関係の強化や敵対諸侯の反乱防止のために互いの子供を里子に出す交換留学プログラムがある(スターク家の子供の中にスターク一切無関係の鉄諸島出身シオン・グレイジョイが混ざっているのはそういう訳だ)。で、昔ジョン・アリンの元に里子に出されていたのがバラシオン家のロバートとスターク家のエダード……もうわかったな。二人は幼馴染で親友、アリン公は彼らの育ての親だったのだ。ロバートとエダードがエイリス狂王に指名手配された時も二人をかばって戦った。ロバートに絶大な信頼を寄せられていたアリン公は、ロバートの戴冠後、相談役である<王の手>に任命された。そして15年後、急死。じゃあ次の<王の手>は……エダード公以外にいないだろう。え?ラニスター家のサーセイと結婚したんだからラニスター家の誰かでもいいんじゃないの?いや、ラニスター家はちょっと信用できないのだ。あいつらは物凄く強力な大貴族だが、ロバートの反乱の際に中立を決め込んで静観していたくせに、ターガリエンが負けそうになった途端ロバート側に立って参戦して真っ先に王都に攻め込み、おいしいところだけ持っていったという過去がある。ひどい話だ。後々わかるがこの件についてはもっとひどい逸話がある。やっぱり最初からずっと味方でいてくれた人たちに背中を預けたいのは当然だ。

 

全ての動きを見逃すな

 長くなった。今、七王国はジョン・アリンの死によってパワーバランスが不安定になっている状態だ。野心家たちがこの混沌を梯子に成り上がりを画策し、あちらこちらの陰という陰で蠢いている。アリン公の死は公式には病死ということになっているが、暗殺ではないかと訝しんでいる者もいる。暗殺?誰が?動機は?わからん……わからんが、権力者は何かと命を狙われるものだ。だから王家の者には直属のSP、<王の盾>(キングズガード)の騎士が付いている。サーセイ王妃の双子の弟ジェイミー・ラニスターは南部で最高の剣士の一人であり、若くして<王の盾>に任命された。七王国の騎士にとって最も名誉ある地位だ。その誉れ高き騎士がなぜ<王殺し>のあだ名で呼ばれているのか?なぜ実の姉と野外ファックなんかしていたのか?その話ジョン・アリンに関係ある?それは……今後明らかになっていくから楽しみにしておいてくれ。そうそう、ターガリエンの残党の動向にも注目しておこう。あっちはあっちで大変そうだ。がんばれ。

 

 

 

 ……なんだか逆にわかりにくくなってしまった気がする。すみません。原作小説には地図と登場人物一覧が付いているので、ドラマにハマったら買ってみてもいいかもしれない。特に地図は超便利です。オープニングの城カタカタだけではどこに誰の何がなんだかという感じだからね。驚くべきことに、今日はまだ疲れていない。昨日トランスフォーマー/最後の騎士王を観たからだと思う。マイケル・ベイ監督、ありがとう。

ゲーム・オブ・スローンズの世界観4(ネタバレ無し)

 おはよう!朝4時に何してるんだい?

 

 今回はエッソスの地理と歴史について書く。歴史は前回ヴァリリア絡みでちょっと触れたが、正直あれだけわかっておけば十分なので補足程度にする。

 ドラマでほぼ全部わかるので、下の自由都市まで読み飛ばしていいです

 

エッソスの地理

 エッソスはウェスタロスよりはるかに大きい。東西に広く、ユーラシア大陸っぽい感じだ。ウェスタロスに近い西側から順番に説明していく。

 まず、ウェスタロスとエッソスは<狭い海>で隔てられている。リアルで言うところのドーバー海峡。この世界は何でもスケールがでかいので、狭いと言っても対岸が見えるほどではない。

 <狭い海>を渡ると、エッソスの西端、旧ヴァリリア永世自由領から独立した自由九都市が治める領域に入る。アンダル人発祥の地アンダロスはこのへんだ。エッソス最大の大河、ロイン河流域までは自由都市の力が及ぶ。

 エッソス中央部まで行くと、騎馬民族ドスラク人が支配する草原<ドスラクの海>に入る。南の沿岸には、ヴァリリア半島の残骸と<煙立つ海>がある。北の沿岸にはちょっとした山脈とちょっとした島以外、特に何もない。何もなさすぎてヴァリリア人も放置していた。

 南の沿岸をさらに東へ進むと、奴隷商人湾がある。ここには昔ヴァリリアに滅ぼされた古ギスカル帝国の末裔たちが住んでいて、奴隷貿易の拡大にせっせと精を出している。

 そのまた東にはクァース、翡翠海、<影に触れるアッシャイ>があり、その先は<影の土地>だ。遠すぎて詳細は不明。このあたりでは古の魔法がまだ生きているっぽい。

 エッソスの南に広がる夏の海の向こうには夏諸島とかソゾリオス大陸とかがあるが、こっちも遠すぎて詳細は不明。ヴァリリアのドラゴンライダーが探検してみたが、超広いことしかわからなかった。

エッソスの歴史

 …前回書いたな…。ヴァリリア五千年の歴史が<破滅>で幕を閉じ、旧・ヴァリリア永世自由領の都市はそれぞれ独立、今に至る。自由九都市が独立後の覇権争いで殴り合っていた時代は、血の世紀と呼ばれる。実は今もちょいちょい殴り合っている。以上、おわり…。

 

自由都市

 都市…といってもただの街ではなく強力な都市国家七王国の民は、より進んだ文明の遺産を持つ自由都市に何かとお世話になっている。モデルはおそらく古代ローマと中世ヨーロッパの都市。全部で九つある。

 ヴォランティス。ヴァリリア最初の娘、古都(オールド)ヴォランティスとも呼ばれる。最古にして最大の自由都市で、東西交易の中心地。ロイン河の河口に位置し、両岸の市街は<大橋>(ロングブリッジ)で繋がっている。昔は最強だったが、自由都市の盟主を自称して周りに殴りかかったところ、思ったより強く殴り返されて最強ではなくなってしまった。

 ブレーヴォス。ヴァリリアの逃亡奴隷によって建設された秘密都市。エッソスの西北端にひっそり隠れていたが、ヴァリリアが消えてからめちゃんこ強くなり、海軍と<鉄の銀行>のパワーでブイブイ言わせている。暗殺教団<顔のない男たち>の総本山、<黒と白の館>がある。未だ謎多き不思議な都市。

 ロラス。隣のブレーヴォスに存在感まで奪われた弱小都市。目の前にくそでかい都がブチ上がってるのにどうして気付かなかったお前?ロラス人は髪を赤と白に染め分けているのですぐわかる。

 ペントス。貴公子(プリンス)と家令(マジスター)の評議会が治めている都市。オープニングの最後に出てきたところ。ブレーヴォスに押し付けられた条約に従って奴隷制を禁止にしたが、それは名目上のパフォーマンスにすぎない…。

 ミア。手工業で稼いでいる都市。毛織物や加工ガラスを輸出している。「ミア産の○○」というとだいたい高級品。伸縮自在の望遠鏡<ミアの眼>は滅多にお目にかかれないレアアイテム。

 ライス。高級娼館<歓楽の館>で有名なエッソスの吉原。ライス人には古代ヴァリリアの血が濃く流れている。

 タイロシュ。最もウェスタロスに近い自由都市。海賊と傭兵がウヨウヨしている。ファッションがやたらと派手。

 クォホール。ロイン河上流、クォホールの森の中にある都市。他の地域ではロストテクノロジーになってしまったヴァリリア鋼の加工技術を保有する。市街はエッソス最強の去勢奴隷兵<穢れなき軍団>(アンサリード)のみによって守られている。

 ノーヴォス。エッソスの西の丘陵地帯にある都市。<顎鬚の導師たち>がエリート斧兵を育成している。

 

 

 

 

 限界です。限界。必要なことは全部書いた。次回から(ネタバレ有り)にする。奥歯に物が挟まったような文章をモゴモゴ書き続けるのはもういやだ。寝る。今日はもう疲れた。ソーシャル賭博が憎い。20万溶かしたとか親を殺されたとかではなく、単純にあくどい商売だから…。とても見ていられない。パンはパンでも世界で一番かわいいパンダはレッサーパンダだと思う。

ゲーム・オブ・スローンズの世界観3(ネタバレ無し)

 今回はウェスタロスの歴史の最後の1%、ドラマ第1話から約400年前~20年前に起こった事について書く。ようやく終わり(始まり?)が見えてきたぞ。

 

ヴァリリアの<破滅>

 だいたい400年くらい前、エッソスの大部分を支配していたヴァリリア永世自由領は、突如として<破滅>を迎えた。火山の噴火か魔法で自爆したか何かが原因で、国の中枢が物理的に吹っ飛んだようだ。壮麗な都は呪われた廃墟となり、大地は引き裂かれ、山々は火を噴き、<煙立つ海>に沈んだ。空を飛ぶ竜たちでさえも、破滅の炎には抗えなかったという。こわ。

 そうそう、ヴァリリア人は人間の奴隷だけでなく、古代の魔法の力で竜をも従えていた。翼があって口から火をブワーする恐るべき獣…。ヴァリリアのドラゴンライダーたちはエッソスのあちこちを飛び回り、気に食わないやつらを焼き殺すか、奴隷にして、ヴァリリア人の治める都市を建設した。炎と血の上に築かれた帝国が崩壊した後、これらの都市は独立して、エッソスの自由九都市となった。正確に言うとヴァリリアの娘都市は九つではなく八つで、残りの一つはヴァリリアの逃亡奴隷が密かに集まって作った街なのだが…そのへんはエッソス回で書く。

征服王エイゴン1世と3頭のドラゴン

 <破滅>の後、ウェスタロスの東に浮かぶドラゴンストーン島に居を構えていたヴァリリア貴族、ターガリエン家のエイゴン公は、一生そこに座って没落を嘆くでも、エッソスに帰って同胞の生き残りと暮らすでもなく、ウェスタロスに渡って自分たちの国を新しく作ることを決める。兵の数で勝てる見込みは全然なかったが、エイゴンの元には破滅を免れたドラゴンが3頭もいたのだ。エイゴンと彼の二人の姉妹はそれぞれドラゴンに乗り、ウェスタロスに上陸した。この上陸地点がキングズ・ランディングだ。

 この突然のドラゴン襲来に、ウェスタロスの王たちは当然抵抗した。抵抗したのだが…一瞬で負けた。びっくりするくらいボロカスに負けた。ドラゴンが強すぎたのだ。あっという間に七王国のうち六つが膝を屈し、エイゴンに臣従を誓った。ドーンは最後まで抵抗したが、政略結婚によって懐柔され、ターガリエンに降った。こうして、七王国の王はただひとりになったのである。

 ちなみに、元・王たちはおおむね領地を安堵され、キングではなくウォーデン(総督)とかロード(公)、プリンス(大公)として各自そのまま統治を続けることを許された。宗教も伝統も変えなくていいことにしてもらった。奴隷制もなし。エイゴンお前政治うまいな。

 3頭のドラゴンの子孫はキングズ・ランディングの<竜舎>でいっぱい増えたが、征服からしばらく後に起こったターガリエン王家の内輪揉め<双竜の舞踏>に巻き込まれ、なんと絶滅してしまった。どうしてそこまで。まあ…ドラゴンがいなくても婚姻とか人質交換で反乱は防げるし…いやでも…うーん…。

ロバート・バラシオンの反乱

 反乱、起こってしまいましたね…。本編から20年前くらいのことだ。当時の王、ターガリエン家のエイリス狂王はあだ名の通り気が狂っていて、ダメダメな治世をやっていた。そこに、長男で跡継ぎのレイガー王子が誘拐事件を起こすという不祥事が重なる。関係者はエイリスとレイガーに抗議したが、エイリスは狂っていたので抗議した人たちを捕まえてバンバン殺した。この状況に耐えかねたストームランドのバラシオン家がついに兵を挙げ、その親戚と、事件の被害者と、その親戚と、その仲間たちと、その親戚と…反乱勢力は雪だるま式に膨れ上がった。最初はまだごめんなさいでギリギリ済むかもしれなかった話が、七王国を二分する大戦争に発展してしまったのだ。

 結果はバラシオン派の勝ちだ。ターガリエン家とその支持者たちはこてんぱんに叩き潰され、反乱を主導したバラシオン家のロバート公が王位を継いだ。一部のターガリエン派は命からがらエッソスへ逃亡したが、スパイと刺客をわんさか差し向けられて、二度とお天道様の下を堂々と歩ける生活には戻れなくなった。ゲーム・オブ・スローンズ、完……………

 

 

 

 ………え?まだ何かあるんですか?やっと終わったと思ったのに?この後の時代を描く全8シーズンのドラマ?それいる?逆に?

 

 

 

 今日はもう疲れた。目を開けた瞬間に疲れた。生活習慣と体調の乱れを感じる。モフモフの犬を吸引したい。おわり。

ゲーム・オブ・スローンズの多すぎる固有名詞と戦う(ネタバレ無し)

  解説はお休みです。

 

 ところで、私がこんなわけわかめな設定の羅列に執心しているのはなにゆえか?どうしようもない設定厨のおたくだから…というだけではない。これからドラマを観ようというあなたにも関係がある。

 ファンタジーやSFの作品では、世界観に奥行きを出すため、その世界の文脈でしか通じない架空の故事や固有名詞、物語の中の物語、そういったものがチラ見せされることがある。たとえば、ハリー・ポッターのシリーズには『穢れた血』という表現が出てきた。魔法界における最低の差別用語だ。マルフォイが「この穢れた血め!」と口にするのを聞いてハーマイオニーは泣きロンは激怒するが、ポッターだけポカンとしていたな。ポッターは一般マグル家庭で育ったので魔法使い特有の言い回しなんか全然わからん。それで一人だけ展開についていけなかったのだ。あなたはいまゲーム・オブ・スローンズにおいて、このポッターの立場にある。

 ローリング先生は親切なので読者にもちゃんとわかるように説明してくれるが、マーティン先生は厳しいので面倒な説明パートはポンポンすっ飛ばされる。ファンタジーのおたくはこの類の手法に慣れ親しんでいるから、「あ~コレはそういうアレだな、今は意味わからんけど話の流れでそのうちわかるから大丈夫なやつだな、たぶん…」と適当に流して先に進むことができるのだが、おたくではないあなたにはまだ免疫がない。あなたは5秒に1回ペースでお出しされる<>付きの固有名詞や謎のカタカナ語に混乱し、「え?何?全然知らないけどもしかして重要なの?わからない、怖い、ちょっとググるか…」とインターネットを閲覧し、重大なネタバレ文字列を目撃し、まだわからなくていいことまで全部わかってしまい、次のエピソードを視聴する気力を失う…………なんという悲劇。

 私がネタバレ無しの設定解説にこだわるのは、私自身がドラマ初視聴時にこの罠に引っかかり、衝撃の展開が全然衝撃じゃなくなってしまった経験が何度もあったからだ。一時停止してウィキペディアとか見るな。同じ轍を踏むな。私がここに安全安心なやつを書いておくから。

「このお節介野郎が…こんなん最初に載せておくべき記事だっただろうが…真っ白な状態で純粋に楽しませろ…」本当にすみませんでした…本当に…調子に乗っていた…頼む…許して…

ゲーム・オブ・スローンズの世界観2(ネタバレ無し)

 もう観たか?(ネタバレ有り)にしていいか?そうですか…………

 

 今回もネタバレ無しで頑張って書く。ウェスタロスの歴史について。もともと七つの王国があったとか、色々あってひとつになったとか、そのあたりの話だ。もしかすると、行間から漏れ出してくる怪しい何か…情報…伏線…そういうものを察してしまう人がいるかもしれない、が………事の真相については………自分の目で確かめてくれ………。

 

ウェスタロスで何があったんだ

 その昔、大昔、何万年も前から、ウェスタロスには妖精みたいな先住民族<森の子ら>が住んでいた。人間がやって来たのはわりと最近、数千年前のことだ。その人間たち、<最初の人々>は、<森の子ら>と仲良くしたり戦争したりしながら共存していた。彼らは白い枝に赤い葉を生やすウィアウッドを<心の木>として信仰し、ウェスタロスのあちこちで大切に育てた。前回リンクを貼ったオープニングの動画に、太陽の塔みたいな物体がニョキニョキ伸びるシーンがあったのを覚えているか。あれがウィアウッドだ。

 二つの種族はしばらくわちゃわちゃしていたが、あるとき突然、はるか北から第三勢力が現れた。こいつが噂のヤバい厄介者、<白き魔物>(ホワイト・ウォーカー)だ。魔物は子らも人も関係なくぶち殺して回り、ウェスタロスは長い冬に飲み込まれた。滅亡の危機だ。だが<森の子ら>と<最初の人々>は力を合わせ、なんとか魔物を北に追い返すことに成功した。やったね。そして二度とこんな目に遭わないように、北の地に魔法で巨大な氷の<壁>を建設、ついでに<壁>を防衛する専門の組織<冥夜の守人>(ナイツ・ウォッチ)も設立しておいた。これで一安心だ。

 そんなこんなで忙しくしているうちに、もともと数の少なかった<森の子ら>の数はもっと少なくなり、とうとう消えてしまった。えっ、悲しい。魔法の時代が…終わってしまった…。ちなみに、北部と南部の境<地峡>が泥沼の湿地帯なのは、<森の子ら>が大水のハンマーなるマップ兵器を召喚して洪水をおこしたかららしい。洪水といい壁といいやることが豪快すぎるでしょ。伝説だからってちょっと盛ってないか?本当に信じていいのか?マーティン先生?

 

 続き。もっと最近になって、エッソスから別の新しい人間たちがやって来た。アンダル人だ。アンダル人は鉄器と馬と新しい宗教<七神正教>を持ち込み、ショボい青銅器を振り回す<最初の人々>の土地をドンドン征服していった。なんかヒッタイトっぽいな。リアル要素だ。<七神正教>の信徒は聖堂に七柱の神を祀るので、心の木はいらない。南部ではウィアウッドは適当に放置されたり、切り倒されたりしてしまった…。

 だが北部は違った。北部は天然の要害<地峡>と冬の寒さに守られているので、さすがのアンダル人も簡単には入ってこられなかったのだ。だから、北部では今でも<最初の人々>の血統と文化、心の木の信仰が継承されている。逆に、アリンの谷間はアンダル人の最初の拠点になったため、アンダル係数がかなり高い。

 ドーンにはアンダル人のほかに、別の民族も来た。エッソスを流れる大河、ロイン河流域に住んでいたロイン人だ。ロイン人はロイン人で竜に故郷を焼かれたり変な疫病に罹ったりと大変な歴史があるのだが、ドラマには出ない設定なので省く。

 鉄諸島については……よく知らない。すみません。アンダル人。読み方は「てつ」ではなく「くろがね」。鉄衆は生まれついての戦士、船乗り、海の男、または海の女で、心の木でも七神でもなく<溺神>を信仰している。戦死と溺死が最高の逝き方で、死後<溺神>の海中神殿に招かれるらしい。ヴァルハラ…ソブンガルデ…的なところか。金で物を買うことを嫌い、代わりに鉄の代価を支払う。鉄の代価…鉄…つまり剣、斧、鏃。欲しいものは力ずくで奪うということだ。

 ここまでが伝説、伝承でしか知られない時代のおはなしです。だいぶ頑張った。ここからがやっとちゃんとした歴史の話になる。ウェスタロスの七つの王国について…。

 

 で、アンダル人がウェスタロスをだいたい征服した後、こいつらは身内で互いに勢力争いを始めた。山と谷の王、島々の王、嵐の王、岩の王、河岸平野の王が統べるアンダル人の王国と、<最初の人々>の子孫である北の王が統べる北部、混血の大公が統べるドーン…ここに、ウェスタロスの七王国が成立したのだ。おお、やっと始まった。いちいち長いんだよ。そういえばリヴァーランドには川の王がいたけど超強い島々の王に消されたので七王国には含まれない。かわいそうに。

 こうしてできた七王国は、それぞれ対立したり、結託したり、騙してみたり、王の家系が変わったり、本家と分家で争ったりと不毛な小競り合いを続け、終わりなき戦いの中で何人もの英雄が生まれた。だがそいつらはドラマには誰も出てこないので省く。

 ここまできてまだ本編の400年前の話だ。みんなもう飽きてきたな。とにかく、これで七王国の歴史が99%わかった。次回は最後の1%、七王国の王がただひとりになった経緯について書く。

 

 

 

 

 長いんだよ………………。マーティン先生、早く続き書いてくれとか言って本当にすみませんでした。これは大変な作業だ。ゆっくり書いて、体を大事にしてほしい。今日はもう疲れた。午前10時だが疲れたものは疲れた。最近、ソーシャルゲームに魂を売り過ぎている気がする。ログイン方法がSNSのアカウント連携だけだと、凍結されたりスマホがぶっ壊れたりした時にソーシャル分霊箱もまとめて破壊されてしまうので、ちゃんと各ゲームのIDを取得してパスワードもメモっておこう。約束だ。