ゲーム・オブ・スローンズお節介鑑賞ガイド1(シーズン1ネタバレ有り)

 レッスン・ワン…………ゲーム・オブ・スローンズの世界では、まだ本編を観ていないのに記事に興味を持ってしまい、あからさまに(ネタバレ有り)と警告されているにも関わらずリンクをクリックしてしまうタイプのやつが、最初に死ぬ…………。

 シーズン1の2話くらいまで観て、また来てくれ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここを読んでいるということは、シーズン1の2話までは観たのだな。いいぞ、その調子で……え?登場人物が多すぎて話がわからない?

 序盤は人が固まってわちゃわちゃしているので混乱するのも無理はない。しかし、ストーリーの理解を妨げるまでにわけわかめ状態となると……重大な問題だ。

 このドラマ、初見で意味わからんと思っていたアレコレが2周目の鑑賞で全部わかってここ伏線アア~!となるのが楽しいのだが、洋ドラおたくではないあなたには2周目とかそんな面倒くさいことをしている暇はないだろう。だから、少しでもスムーズに視聴して一発目でアア~!できるようにお節介鑑賞ガイドを書いておく。

 

名前は無理して覚えなくてもいい

 人の名前はまだなんとなくでいい。主要キャラは観ているうちに見分けられるようになっていくし、何度も名前が出てくるので勝手に覚えてしまう。それに、ブランとブロン、サーセイとサンサの違いが曖昧なままシーズン6まで走って「良かった!」とか言ってるふざけた野郎を見たことがある。ジェイミー・ラニスターを演じるニコライ・コスター=ワルドー氏もインタビューでキャラの名前を思いっきり間違えていた。だから大丈夫だ……。

 いや全然大丈夫ではないな。顔と名前が一致しない状態が続くのもつらい。スターチャンネルの公式ページには登場人物の相関図が載っているが、シーズン6のやつにアップデートされているので参考にならないし、とんでもなく致命的なネタバレが含まれている。ウィキペディア先生も同じだ。ではどうするか……自力で覚えるのだ。

 

まとまりとして捉える

 大勢の人がわちゃわちゃしているが、何となく勢力ごとにまとまっているのがわかるだろう。今のところそのまとまりは、バラシオン家スターク家ラニスター家ターガリエン家、それ以外の有象無象に分けられる。それぞれ親子兄弟姉妹がいて家来がいて……この関係が無限に連なっており、そいつらを個別に覚えようとするのが脳ミソわちゃわちゃの原因だ。まとまりで把握するのだ。貴族たちは血縁関係を重視し、一族で固まる傾向がある。そしてその中に、封建制だか従士制だか御恩と奉公みたいなやつで、上下の主従関係がある。横と縦の線で紡がれた人間たちのまとまり……これをつかんだならば、あなたはゲーム・オブ・スローンズの世界でシーズン3くらいまでは生き残ることができる。

 

このおっさんは誰だ

 まとまり……まとまり……ぜんぜんわからない。俺たちは雰囲気で玉座取りのゲームをやっている……。そうだな。私もそうだった。というか序盤の時点では登場人物も視聴者も全員そんな感じだ。まずいきなりロバート王がわざわざウィンターフェルまでやってきてエダード公を<王の手>とかいうのに任命した理由がわからん。仲良しか?変な石を目に乗っけた死体の周りで踊っていた人たちと、その横で不謹慎な会話をしていた男女。何なんだあいつらは。子供を塔から突き落とすな。スノウって誰。etc……

 本当に何もわからん。取っ掛かりが必要だ。シーズン1は、ロバートの<王の手>ジョン・アリン公の死をきっかけに話が動き出す。アリン公はもう死んだので出てこないが実は結構すごいやつなので、この人を起点に最初の展開を整理してみよう。

  ジョン・アリンは名前からわかるようにアリンの谷間の領主、アリン家の当主だった。貴族の社会には、同盟関係の強化や敵対諸侯の反乱防止のために互いの子供を里子に出す交換留学プログラムがある(スターク家の子供の中にスターク一切無関係の鉄諸島出身シオン・グレイジョイが混ざっているのはそういう訳だ)。で、昔ジョン・アリンの元に里子に出されていたのがバラシオン家のロバートとスターク家のエダード……もうわかったな。二人は幼馴染で親友、アリン公は彼らの育ての親だったのだ。ロバートとエダードがエイリス狂王に指名手配された時も二人をかばって戦った。ロバートに絶大な信頼を寄せられていたアリン公は、ロバートの戴冠後、相談役である<王の手>に任命された。そして15年後、急死。じゃあ次の<王の手>は……エダード公以外にいないだろう。え?ラニスター家のサーセイと結婚したんだからラニスター家の誰かでもいいんじゃないの?いや、ラニスター家はちょっと信用できないのだ。あいつらは物凄く強力な大貴族だが、ロバートの反乱の際に中立を決め込んで静観していたくせに、ターガリエンが負けそうになった途端ロバート側に立って参戦して真っ先に王都に攻め込み、おいしいところだけ持っていったという過去がある。ひどい話だ。後々わかるがこの件についてはもっとひどい逸話がある。やっぱり最初からずっと味方でいてくれた人たちに背中を預けたいのは当然だ。

 

全ての動きを見逃すな

 長くなった。今、七王国はジョン・アリンの死によってパワーバランスが不安定になっている状態だ。野心家たちがこの混沌を梯子に成り上がりを画策し、あちらこちらの陰という陰で蠢いている。アリン公の死は公式には病死ということになっているが、暗殺ではないかと訝しんでいる者もいる。暗殺?誰が?動機は?わからん……わからんが、権力者は何かと命を狙われるものだ。だから王家の者には直属のSP、<王の盾>(キングズガード)の騎士が付いている。サーセイ王妃の双子の弟ジェイミー・ラニスターは南部で最高の剣士の一人であり、若くして<王の盾>に任命された。七王国の騎士にとって最も名誉ある地位だ。その誉れ高き騎士がなぜ<王殺し>のあだ名で呼ばれているのか?なぜ実の姉と野外ファックなんかしていたのか?その話ジョン・アリンに関係ある?それは……今後明らかになっていくから楽しみにしておいてくれ。そうそう、ターガリエンの残党の動向にも注目しておこう。あっちはあっちで大変そうだ。がんばれ。

 

 

 

 ……なんだか逆にわかりにくくなってしまった気がする。すみません。原作小説には地図と登場人物一覧が付いているので、ドラマにハマったら買ってみてもいいかもしれない。特に地図は超便利です。オープニングの城カタカタだけではどこに誰の何がなんだかという感じだからね。驚くべきことに、今日はまだ疲れていない。昨日トランスフォーマー/最後の騎士王を観たからだと思う。マイケル・ベイ監督、ありがとう。